研究概要 |
histone deacetylase inhibitorであるsodium butyrate(NaB)は分化誘導剤である.p53発現とNaBによる抗癌剤感受性について検討した.膵癌cell line(SW-1990,BxPC-3,PANC-1,MiAPAKA, JHP-1)を用い、p53発現(western blot)、抗癌剤(5-FU, cisplatin, SN-38,taxol)感受性(MTT assay),apoptosis誘導(DNA ladder)をNaB添加の有無で検討した。SW-1990とJHP-1ではp53は低発現であるが,NaB投与によりp53発現が誘導された。SW-1990をNaBで前処理すると、抗癌剤5-FU, cisplatin, SN-38の感受性が約10〜27倍増強した。NaBはp53低発現細胞でp53を誘導し、薬剤感受性の増強が可能である。また、CMVプロモーターの下流にp53のwild typeとGFP蛋白をコードする遺伝子を組み込んだプラスミドを作成し、SW-1990に導入後、上記抗癌剤を投与した。control vectorの導入に比べ、明らかに抗癌剤感受性が増強した。蛍光顕微鏡によるGFPは、P53発現細胞でアポトーシスを起こしていた。一方,drugcarrierとして最近開発された水溶性αGルチン、αGヘスペリジンといった糖転移ビタミンPを用いマイクロカプセル(MC)の調製を試みた。MC調製は、糖転移ビタミンを溶解させた水溶液を連続相とし、クロロホルム20mlに生分解性高分子であるポリ乳酸を溶解させたものを分散相とした。連続相にPVAと糖転移ビタミンP添加によりMCが調製できた。調製したMCの電顕写真から、αGルチンでの粒径は1μm〜2μm、αGヘスペリジンでの粒径は0.5μm〜1μmであった。今後プラスミドを封入したMCを開発していく予定である。
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