研究課題/領域番号 |
12671240
|
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
山口 浩司 札幌医科大学, 医学部, 助手 (60315512)
|
研究分担者 |
平田 公一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50136959)
浦 英樹 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50264510)
茶木 良 札幌医科大学, 医学部, 助手
|
キーワード | 胃癌細胞株 / 同所性移植 / 腹膜転移 / ヌードマウス / 接着分子 |
研究概要 |
浸潤・転移は癌細胞自体の移動というメカニズムによって、癌が宿主を攻撃する過程に共通の現象であり、この過程においては遺伝子変異の存在や細胞接着分子などの転移関連物質の関与が考えられている。胃癌治療の臨床上、腹膜転移に関しては、その治療法の開発ならびに防止対策は十分ではなく今後極めて重要な課題であると考えられる。本件研究では種々のヒト胃癌細胞株を用い、同一の親株から腹膜転移モデルを樹立することで各転移形式別に特異的に関与する因子を同定することを目的とした。 ヌードマウス可移植性培養株化細胞として低分化型腺癌であるヒト胃癌細胞株AZ521 5×10^6/0.1mlを生後6-7週、体重16-20gの雌(BALB/c Ajcl-nu)マウスの胃壁に接種する細胞注入法を用い同所性移植を施行したが、腹膜転移巣は明らかな形成を示さなかった。そこで腹腔内投与を3回施行し、転移率を増加させた株を同所性に移植することにより腹膜転移株の樹立を試みた。一方、現在までに同一の親株から高肝転移株、高リンパ節転移株を樹立している。また、MKN45、GT3TKBなどの低分化型腺癌株による同所性移植により、高転移株を作成している。腹膜転移株のFACS解析による細胞表面接着分子の発現ではβ1integrinの発現上昇が認められ、また、fibronectinによるchemotaxisでは転移株における細胞運動能の亢進を認めた。この運動能の亢進が腹膜転移の形成に強く関連している可能性が考えられている。現在、転移関連因子を標的とした阻害実験を施行している。微小環境の影響による細胞集団の変化が転移形成に重要な役割を演ずることが明らかにされ、腹膜転移においても特異的に関与する因子が存在すると考えられる。
|