研究概要 |
現在までに、本研究に関する説明を受け、研究参加の同意を得た進行食道癌症例20例がエントリーされている。放射線化学療法開始前に上部消化管内視鏡下に食道癌部より生検標本を採取し、OCT compoundに包埋保存後、新鮮凍結切片を作成した。Arcturus社製PixCell II LCM systemを使用し、Laser Capture Mecrodissectionの技術を用いて食道癌細胞のみを選択的に採取し、RNA抽出を行っている。得られる癌細胞Total RNA量は非常に微量なため、当初解析に必凄なRNA量を十分得ることができず、Linear amplificationに関する各種講習会参加や他の研究室での技術指導を受け、RNA抽出の安定した技術を獲得するために時間を要した。得られた微量RNAは共同研究を行っている理化学研究所においてLaser Capture Microdissectionを2回施行することで、現在ではmRNA量を10000倍まで増幅させることができた。これら食道癌細胞から得られたmRNAを正常食道癌組織のmRNAを対照とし、ハイブリダイゼーションを行い、cDNA microarray (理化学研究所作成、ヒト20K chip)を用いて遺伝子発現を解析している。これら、一連の実験操作はtest sampleを用いて基礎検討を重ね、安定した結果が得られるようになったため、現在実際の臨床生検標本数例を用いて解析を開始し、detaを蓄積しているところである。 また放射線化学療法施行後の臨床的効果判定(画像診断、組織学的診断)と予後調査を合わせて行っている。 今後cDNA microarrayによる遺伝子発現データと実際の放射線化学療法の臨床的効果判定結果との関連を解析ソフトを用いて統計学的解析を行い、放射線化学療法のresponder, non-responderに関与する遺伝子検索を進めていく方針である。
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