研究課題
胆道系発癌の機序は未だ不明である。我々はこれまで、胆道系の前癌病変である膵胆管合流異常症の研究から、その発癌機構を検討してきた。これにより発癌の初期に起こる変化として、テロメラーゼ、Bc1-2の異常発現が起こることを確認してきたが、遺伝子発現を包括的に検討するため、cDNA microarrayによる遺伝子発現プロファイルの作成を試みている。しかし、検体から抽出されるRNAは微量で、そのままでは解析に充分な量ではないため、Ambion MEGA Script T7 kitを用いたlinear amplification法によりRNAの増幅を行い、解析に使用する。平成12年度に一症例について解析を行っており、臨床検体から抽出した1.5〜3ugのtotal RNAから、cDNA microarrayによる解析が可能であることを確認している。平成13年度は、膵胆管合流異常症、そこから発生した胆嚢癌、孤発性に発生した胆嚢癌、比較対照としての他疾患で合併切除した胆嚢粘膜の検体より、RNAの抽出、調整を行い、順次linear amplificationを行っている。今後は比較対照がそろった段階で、microarrayにHybridizationする予定である。