平成12、13年度にわたり申請者は胃癌手術合理化を目的とした新しいナビゲーションシステムの開発に関する研究として、新しいモノクローナル抗体にPEGを結合させた放射標識抗体を作成しその基礎的検討を行なった。その結果、消化器癌に特異的に反応するモノクローナル抗体A7の胃癌特異性は70%から90%に向上することが明らかになった。 平成14年度の研究の概要 動物実験1:平成14年度は、この抗体をヒトに応用するにあたって、まず動物を用いてその特性を明らかにし、実際に臨床応用できるかどうかを検討した。全身麻酔下にウサギを開腹し、胃の粘膜下に125-Iを放射標識した抗体を投与し、各臓器、特に所属リンパ節への分布を計測した。PEG化抗体、元の抗体それぞれ5匹ずつ行った。その結果、双方ともリンパ節集積性は高く、リンパ節転移を検出するのに充分であった。 動物実験2:ビーグル犬を用いた。全身麻酔下に胃内視鏡を施行し、放射標識した抗体を経内視鏡的に胃粘膜に注入した。3日後、犬に再び全身麻酔を施し、開腹下に胃の所属リンパ節への抗体の集積性を計測したところ、注入近傍のリンパ節への放射活性が高く、本抗体は大型動物においてもリンパ節集積性が高いことが明らかになった。
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