1.外科的同所性移植モデルの作製について まず、動物実験系ではマイクロアレイ解析の処理(メッセンジャーRNAの抽出)を培養細胞を用いた系(実験系の対照群)を中心に進めている。培養細胞系のメッセンジャーRNAの抽出は後述する臨床検体とは異なり、安定した収量が得られている。また、外科的同所性移植モデルの実験系に必要な手術手技の習熟度を高めているところである。 2.マイクロアレイ解析について 教室においては胃癌を中心に解析が進められてきたが、食道癌・胃癌・大腸癌の検討を平行して行っている。臨床検体を用いた検討では書面によるインフォームド・コンセントをおこなった上で採取している。臨床検体を用いたマイクロアレイ解析における我々の問題点は、臨床検体からの腫瘍組織からのメッセンジャーRNAの抽出にあり、培養細胞を用いた場合に比して収量が低いため、手術室における検体の処理などの工夫とともに手技的な検討を行っている。また、科研費申請の際にも記載したが、マイクロアレイ解析には多額の設備投資が必要であり、我々の施設の現況では委託せざるを得ないの状況にあるが、検体病理標本をどのステップまでを自前で処理するかの見極めが重要であり、精製までを行ったものと、腫瘍片から凍結して外注したものとの比較を行っているところである。しかし、外注のコストは非常に高価であり、対研究費に占める比率が非常に高くなるため、検体数を増やすには至っていない。
|