研究概要 |
HLA-A24結合性CEA epitope peptide(CEA652[9])を患者の単球よりIL-4とGM-CSFを用いて誘導したDCにpulseして投与する臨床試験を行い,その生体内免疫応答を以下の方法で解析した. 1.CTLの誘導能の変化 すなわち,ワクチン投与前後のPBMCを採取保存し,in vitroにてDCを用いた方法でCTLを誘導し,その誘導能の変化を比較検討した.その結果,6例中3例でワクチン投与後にCTLの誘導能が増強した.すなわち,ワクチン投与により,生体内でCEA特異的CTLが誘導されたことが示唆された.また,ワクチン投与患者から誘導したCTLはpeptideをパルスした標的細胞を特異的に認識するのみならず,内因性にCEAを産生する細胞をHLA-A24とCEAの発現に依存して認識することが明らかとなった. 2.ELISPOT法によるprecursor frequencyの変化 ワクチン投与前後のPBMCを採取し,そのPBMC中のprecursor frequencyをIFN-γの産生を指標としたELISPOT assayにて解析した結果,6例中2例でワクチン投与によりfrequencyが上昇した. 3.CEA tetramerによる解析 CEA tetramerがCEA特異的CTLを用いて使用できることを確認した上で,ワクチン投与患者のPBMCを用いて検討した結果,症例によってCEA特異的前駆体が上昇することが確認された. 以上より,DCを用いたCEA癌ワクチン療法にて生体内で抗CEA免疫応答が惹起されることが確認された.
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