研究概要 |
CEA由来HLA-A24 peptide (CEA652[9])をDCにパルスしてCEA産生腫瘍を有する消化器癌患者に投与する臨床試験を行い免疫応答について解析してきたが,tetramerでも検出できるか否かを検討し,さらにin vitroで誘導されたCEA特異的CTLが腫瘍の増殖を抑制できるかどうか,について動物モデルを用いて検討し,今後の腫瘍免疫療法について考案を行った. 1.CTLのin vivoでの腫瘍拒絶 CEA産生でHLA-A24を有する腫瘍細胞であるHT29のマウス経脾肝転移モデルを作製し,ここへHLA-A24特異的CEA CTL clone 1×10^8個を尾静脈より注入したところ,肝転移巣に集積することがラベルされたCTLで確認され,肝転移を有意に抑制することができた.これは低濃度のIL-2を併用することにより増強された. 2.Tetramerを用いたimmunomonitoring ワクチン投与によりCTLの誘導能が増強された症例やELISPOTでCTL前駆体頻度が増強された症例に対して,検討したところ症例によっては,検出可能であることが判明した. 3.研究統括 本年度までの3年間の研究は,消化器癌に高率に発現するCEAをモデル抗原として,日本人に多いHLA-A24由来のペプチドをDCにパルスしたものを投与する臨床応用における免疫反応を多角的に解析した.一定の免疫応答は検出されたが腫瘍拒絶にまでは至っていない.腫瘍特異的能動免疫療法に関しても動物モデルを用いて検討し,一定の効果は示された.
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