研究概要 |
HNPCC(Hereditary Nonpolyposis Colorectal Carcinoma)を拾い上げるために有効な方法論について452例の大腸癌症例(Japan clinical criteria69例、Bethesda guideline 106例)について検討した。マイクロサテライト不安定性は21.7%(98/452)に認められ、このうち8例に生殖細胞変異を認められた。生殖細胞変異はJapan clinical criteria A例に多く認められた(33.3%vs6.4%,P<0.001)。また50歳以上の症例に比し、50歳未満の症例に生殖細胞変異が多く認められた(9.3%vsO.27%,p<0.001)。生殖細胞変異例全例にTGFβRII変異を認めた。hMSH2およびhMLH1の免疫染色発現低下例において生殖細胞変異を認めた。結論としてJapan clinical criteria Aは生殖細胞変異を調べるべき症例を選択するのに適切であり、そのうち50歳未満でTGFβRII異があり、hMSH2およびhMLH1の免疫染色発現低下しているマイクロサテライト不安定性を有する大腸癌症例について生殖細胞変異を検討することがHNPCCの拾い上げに最も有効であると考えられた。
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