研究課題/領域番号 |
12671257
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
栗原 克己 自治医科大学, 医学部, 助手 (20275697)
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研究分担者 |
永井 秀雄 自治医科大学, 医学部, 教授 (00164385)
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キーワード | PP染色 / Wirsung管 / Santorini管 / 腹側膵 / 背側膵 / 三次元構築コンピュータシステム / 立体構築 |
研究概要 |
膵に病変のない剖検膵頭部20例を用いた。1)20例に、膵体部断端主膵管よりゼラチン加50%バリウム液を注入し膵管造影を施行。角度を変えた撮影で立体写真を作成。同時にヘリカルCTを用いて膵管の3D画像を作成した。2)18例は、標本全体を10%ホルマリン液で固定し、矢状断方向に1mm間隔で薄切し、薄切面の軟線撮影を施行した。3)薄切標本の撮影フィルム上で、径0.3mm以上の膵管(およそ第三・第四膵管分枝まで)を同定し、三次元構築コンピュータシステムを用いて膵頭部膵管走行を立体構築した。4)各薄切標本は、さらにパラフィン包埋し、4ミクロンで薄切後、免疫組織化学的に、腹側膵のラ氏島に存在するPP(Pancreatic polypeptide)を染色し、撮影フィルム上にその分布をプロットし、三次元構築コンピュータシステムを用いて得られた膵管の立体画像上に投影した。 (結果) 1)Wirsung管系支配領域とSantorini管系支配領域の境界部には膵管分枝に乏しい疎な面、即ちdividing planeが存在していた。2)このdividing planeは平面に近い比較的単純な構造を示していた。3)PP染色領域とPP非染色領域の境界は、dividing planeとほぼ一致していた。4)PP染色に基づく腹側膵領域と背側膵領域の境界は、Wirsung管とSantorini管の合流部付近では複雑に入り組む傾向があった。5)Wirsung管系とSantorini管系の癒合点は、膵管造影上で認められる合流部より0.5〜1cm主乳頭寄りのWirsung管上に存在しており、造影上の合流部点との解離を示していた。6)膵鉤部領域は通常型ではすべて腹側膵領域に属していた。 (研究により得られた知見)1)Wirsung管とSantorini管の合流部付近では境界がやや複雑になるが、dividing plane上での腹側膵切除と背側膵切除が可能であると思われる。2)Wirsung管系とSantorini管系の癒合点はdividing plane上にあるが、従来の認識とは異なり、膵管造影上で認められる合流部より0.5〜1cm主乳頭寄りに位置することが証明された。
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