研究課題/領域番号 |
12671257
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
栗原 克己 自治医科大学, 医学部, 助手 (20275697)
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研究分担者 |
永井 秀雄 自治医科大学, 医学部, 教授 (00164385)
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キーワード | PP染色 / Wirsung管 / Santorini管 / 腹側膵 / 背側膵 / 三次元構築コンピュータシステ / 立体構築 |
研究概要 |
1目的 膵疾患診断の発達に伴い小病変や早期病変が多く発見されるようになってきた。その結果、低悪性度病変に対して縮小ないし機能温存を目指す術式の開発がなされているが、膵頭部の膵管系の広がり・分布に関しては十分な解剖学的裏付けがなく、最大の術後合併症である膵痩発生を阻止する縮小手術は確立されていない。 そこで、本研究では、剖検膵の膵頭部膵管立体造影撮影とCT三次元構築により膵頭部膵管系の分布様式を検討し、さらに同一標本の連続組織切片を作成した。コンピュータグラフィックにより膵頭部膵管系とPP(Pan creatic polypeptide)細胞(腹側膵原基のラ氏島に特異的に認められる)を三次元的に明らかにすることにより、腹側・背側膵原基と膵管分布との解剖学的関係を査証することを目的とした。加えて、外科的に安全な膵頭部区域切除の可能性についても検討した。 2方法 既報(13年度報告書) 3結果 1.PP細胞の豊富な腹側膵とPP細胞に乏しい背側膵の間には膵管分枝の交通のない疎な面(dividing Plane : DP)が存在していた。このDPは平面に近い比較的単純な緩やかな曲面を呈していた。 2.腹側膵領域と背側膵領域の境界部には組織学的に疎性結合織よりなる疎な間隙を有しており、この間隙がDPと一致していた。 3.DPと膵頭部周囲組織との関係では、すべての症例で「総胆管が膵上縁で接する部位」、「門脈右側縁」、約半数の症例で「膵前面アーケード動脈が走行する逆V字型切痕部」がDPを膵表面から類推する構造物であった。 4.腹側膵膵管系と背側膵膵管系の発生学的癒合(ontogenetic fusion)は、one-ontogenetic fusion型(一点癒合型)とtwo-ontogenetic fusion型(二点癒合型)が認められた。両タイプとも、ontognetic junctionはDP上に存在していた。 5.Ansa型は複雑な癒合面と膵管系の分布を有していた。
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