本研究の目的は、ラットタウロコール酸膵炎モデルを用いて内分泌細胞の機能変化を解析し、急性膵炎における内分泌動態を解明することにある。昨年度まで、ラットタウロコール酸浮腫性膵炎モデルでは、isletの形態・GLUT2の発現に変化は生じないが、単離isletにおけるグルコース刺激インスリン分泌能は有意に低下していることを明らかにした。ラットタウロコール酸による浮腫性膵炎で認められる耐糖能障害はトリプシンなどの活性化された酵素により、islet内部環境の機能的変化、特にインスリンシグナル伝達系の障害が惹起されることによって生じている可能性を明らかにした。本年度は、急性膵炎時の好中球機能、およびGCSF投与時の好中球機能と膵内分泌動態の変化に注目し実験を行った。急性膵炎モデルにおけるG-CSF投与によって、血中と腹水中のCD11b陽性の好中球が上昇し、腹水中のCD32/16陽性の好中球が上昇した。G-CSFが好中球の遊走能と貪食能を増強することが考えられたが、膵内分泌動態の変化に及ぼす影響は今後の検討課題となった。
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