研究概要 |
【目的】平成12年度はヒト大腸癌微小肝転移モデルと用いて、I-131をラベルしたH-15を投与群と無治療群を設定し、動物の生存ならびに転移の程度を指標に、補助療法としての有用性を検討した。【方法】(1)MAb:HT-29LMM株に特異的なmAb H-15を用いた。MAb H-15は米国Memorial Sloan-Kettering Cancer Centerより供与を受けたマウスIgG1クラスに属するmAbで、細胞表面糖蛋白(200kd)に反応する。MAb H-15はchloramine-T法でI-131を標識した。(2)投与法:生後3〜4週のBALB/c雌ヌードマウス(マウス)を用いた。脾臓内移植1週間後に、1μg/100μCiのI-125を標識したmAbH-15(0.5ml)を静脈内に注入する群(低線量投与群:n=60)と、1μg/500μCiのI-125を標識したmAbH-15(0.5ml)を静脈内に注入する群(高線量投与群:n=60)を設定した。また無治療群(n=60)も設定した。(3)判定:脾臓内移植後2週間、3週間、4週間後に各10匹を屠殺し、肝転移の重量を測定した。また残りの30匹に関しては生存を観察した。屠殺した際には肝臓を摘出し,転移巣を摘出し,重量を測定した。また血液も採取した。摘出した肝転移巣、肝臓、血液はgamma well counterで放射能を測定し、percent injected dose of mAb per gram of tissue(%ID/g)を算出した。肝転移の%ID/gを肝臓の%ID/gで除すことにより肝転移:肝臓比をまた肝転移の%ID/gを血液の%ID/gで除すことにより肝転移:血液比を計算した。【結果】脾臓内移植後2、3、4週目に屠殺し、肝転移巣の重量を比較した結果では、高線量投与群が低線量投与群と無治療群に比較して有意に少なかった。また高線量群の肝転移:肝臓比と肝転移:血液比は、低線量群に比較して有意に高かった。生存期間においては、高線量群と低線量群が無治療群に比較して有意に延長した。【まとめ】大腸癌微小肝転移に対するradioimmunotherapyの補助療法としての効果が明らかになった。平成13年度は同じモデルを用いて,I-131をラベルしたH-15投与群と5-FU/LV投与群とを比較を予定している。
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