研究概要 |
平成12年度は,ヒト大腸癌微小肝転移モデルと用いて,I-131を標識したmAb H-15を投与群と爆治疲群を設定し,動物の生存ならびに転移の程度を指標に両者を比較した.脾臓内移植後2,3,4週目に屠役し,肝転移移巣の重量を比較した結果では,I-131標識mAbH-15高線量役与群が同低線量投与群と無治療群に比較して有意に少なかった.またI-131高線量群の肝転移:肝臓比と肝転移:血液比は、低線量群に比較して有意に高かった.生存率においては、I-131標識mAb H-15の高線量群と低線量群が無治療群に比校して有意に高く,解剖の結果,肝転移を来さないことが生存率向上の原因と判断された. 平成13年度は,I-131標識mAb15高線量投与群,5-FU/LV低投与量,ならび5-FU/LV高投与量群を比較した場合,I-131標識mAb15高線量投与群の肝転移の重量は,投与1週後,2週後,3週後のいずれも,5-FU/LV低投与量群らび同高投与量群に比較して,有意に少なかった.一方,5-FU/LVの低投与量群と高投与量群の比較では,肝転移の重量にに差を認めなかった. また,マウスの生存率に関しても,I-131標識mAb15高線量投与群が,5-FU/LV低投与量群ならび高投与量群に比較して良好であった. 本研究では大腸癌の補助療法としてのI-131/mAb H-15投与の有用性が証明できた.放射性同位元素を標識したmAbを大腸癌切除後の補助療法として臨床応用を行う前には,最も効果が期待できるmAbと放射性同位元素の組合せを明らかにする前臨床試験が必要と考える.今後,最適のmAbと放射性同位元素の組合せを明らかになり,臨床応用されることが期待される.
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