研究概要 |
研究目的は肝細胞癌(HCC)の腫瘍関連血管新生制御である。今回は血管新生関連Matrix Metalloproteinases(MMPs)、Vascucular Endothelia Growth Factor(VEGF)および血管新生関連サイトカインネットワークに着目した。DiethyhitrosamineラットHCC modelを用いた基礎的検討ではその繊維化および発癌とともにMMP-2,MT1-MMPの発現増強、部位の一致性、MMP-9のHCC浸潤部での強発現が、臨床例では同様な結果に加えMMP-3,7の増殖への関与や興味深い所見としてTranscatheter arterial embolization後のHCC viable cellsにMMP-7の強発現を認めた。またMT1-MMPがHCCの病態上ひとつのkey factorと考えられた。またVEGFとMMPsとの相互関係で注目すべき所見として、MMP-9は比較的一致性があるもののMMP-2,MT1-MMPとはその発現を異にする部分が目立った。臨床例での血管新生関連サイトカインの発癌前後で特徴的であったのは、IFN-γの低下、IL-8の上昇が認められたことである。またin vitroではHCVが特にこの血管新生と深い関連があることが示唆された。基礎的検討でのMMP-inhibitorおよび血管内皮増殖抑制剤はHCCに対しtumor dormancy, tumor shrinkageおよびchemoprevention効果も示した。Angiogenetic combined treatmentの立場から、抗VEGF中和抗体および抗IL-S中和抗体についても現在検討中であるが、これらの結果から抗血管新生療法はHCCへの臨床応用が十分に期待できる。
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