研究概要 |
最終年度はこれまでの研究の流れを踏まえ、癌細胞と細胞接着分子との関連ではlaminin、vitronectin、E-cadherin、β1-integrin、type IV collagen由来の尿中GGH(glucosyl-galactosyl-hydroxylysine)、MMP-2、MMP-9に加えfibronectinを、サイトカインとの関連ではTGF-βに加えEGF、HGF/c-metを対象に加えた.大腸癌の進展度評価因子としての意義においてEGFについてみると、術前末梢血EGF値はコントロール群214.0±106.1、大腸癌群427.4±228.1pg/mlであり両者間に有意差を認めた(p<0.0001).病理学的諸因子との関係ではstage0,I群とII〜IV群で、Dukes A, B群とC, D群で、m, sm群とss(a1),se(a2),si(ai)群で、n0群とn1〜4群で、ly0群とly1〜3群で、v0群とv1〜3群で、さらにH0とH1〜3群の間で各々有意差を認めた. 免疫組織染色でもH0とH1〜3群の間で発現に有意差を認めた.同様にfibronectin、HGF/c-metについても検討重ねている. また、肝・肺転移モデルにおける転移能の変化を細胞株で親株→転移株においてmacroarrayで検索した.単独転移に比し肝・肺転移株でγ-catenin、Integrinβ4、TGF-βなどの遺伝子の高発現を認めた.このように転移メカニズムにおける細胞接着系の関与を実証するため、蛋白レベルの発現解析を行っていきたい.
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