研究概要 |
骨髄中微小転移の検索は手術後の転移再発を予知し、補助療法の適応を決定する指針となる可能性がある。そこで消化器癌手術症例において免疫磁気細胞分離装置を用いた骨髄中の癌細胞検出を試みた。手術前全身麻酔下に腸骨より骨髄液および末梢血を同時に採取し、Dynabeads epithelial Enrich(CELLection^<TM>)を用いて上皮細胞を選択的に採取し、Cytospinを使って塗抹標本を作成、抗cytokeratin抗体を用いて免疫染色を行ない癌細胞を同定した。また、主病巣におけるVEGFとc-erbB-2の発現を検索し比較した。 胃癌手術症例45例(stageI:15例,stageII:8例,stageIII:11例,stageIV:11例)のうち骨髄中に13例(28.9%)で癌細胞を認めた。陽性率はstageI:1/15例(6.7%)stageII:2/8例(25%)stageIII:4/11例(36.4%)stageIV:6/11例(54.5%)でありstageとの相関を認めた。また、遠隔転移との関係についての検討では骨髄中癌細胞の陽性率とは関連を認めたが、腹膜転移とは関係は認めなかった。骨髄から癌細胞が検出された症例では原発巣においてVEGFおよびc-erbB-2が高率に発現していた。 その他の消化器癌における骨髄中癌細胞の検出は食道癌症例8例中4例、胆道癌症例7例中2例、肝臓癌症例7例中0例、膵癌2例中1例に陽性で食道癌患者に高率であった。
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