前年度に引き続き消化器癌手術症例において免疫磁気細胞分離装置を用いた骨髄中の癌細胞検出を試みた。骨髄液および末梢血を同時に採取し、Dynabeadsを用いて上皮細胞を選択的に採取し、Cytospinを使って塗抹標本を作成し抗cytokeratin抗体を用いて免疫染色を行ない癌細胞を同定した。また、主病巣における転移関連遺伝子の発現を検索し比較した。胃癌手術症例68例のうち骨髄中に19例(28%)で癌細胞を認めた。陽性率はstageとの相関を認めた。また、遠隔転移との関係についての検討では骨髄中癌細胞の陽性率とは関連を認めたが、腹膜転移とは関係は認めなかった。骨髄中癌細胞が検出された2例に術後肝、肺転移を認めたが、検出されなかった症例では臓器再発は認めていない。研究結果をAnnals of Surgical Oncology誌に投稿し受理され、著者校正を済ませ現在印刷中である。一方、症例の集積の遅れた食道癌症例では48例中11例(23%)に骨髄中癌細胞を認めた。骨髄中微小転移の検索は手術後の臓器転移再発を予知し補助療法の適応を決定する指針となる可能性がある。食道癌についても結果がでてきたので論文として発表する。直腸癌を中心とした大腸癌でも18例中2例に検出しており、症例を集積して結果を検討し発表する予定である。
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