消化器癌術症例において免疫磁気細胞分離装置を用いた骨髄中の癌細胞検出を試みた。骨髄液および末梢血を同時に採取し、Dynabeadsを用いて上皮細胞を選択的に採取し、Cytospinを使って塗抹標本を作成し抗cytokeratin抗体を用いた免疫染色で癌細胞を同定した。また、主病巣における転移関連遺伝子の発現を検索し比較した。胃癌手術症例68例のうち骨髄中に19例(28%)で癌細胞を認めた。陽性率はstageとの相関を認めたが、腹膜転移とは関係は認めなかった。骨髄中癌細胞が検出された2例に術後肝、肺転移を認めたが、検出されなかった症例では臓器再発は認めていない。研究結果はAnnals of Surgical Oncology誌に掲載された。一方、食道癌症例では52例中13例(25%)に骨髄中癌細胞を同定した。術後生存率と相関を認め、陽性例では肝転移や肺転移などの臓器再発を認めた。この結果をOncology Report誌に投稿し受理された。直腸癌を中心とした大腸癌でも骨髄中癌細胞を検出したが、予後が良好で再発症例が少ないことにより明確な結果は出せなかった。骨髄中微小転移の検索は手術後の臓器転移再発を予知し補助療法の適応を決定する指針となる。
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