研究概要 |
1、マウス骨髄細胞からの樹状細胞の採取と分離培養 BALB/cマウスの大腿骨より骨髄細胞を採取しリコンビナントマウスGM-CSF及びIL-4添加培養液にて1週間培養した後に、metrizamideを用いた比重遠心法にてdendritic cell rich interfaceを採取した。この樹状細胞の表面抗原をモノクローナル抗体を用いてFACSにて解析した結果、樹状細胞に特徴的であるCD11b,11c,80,86,MHC classI,classII陽性を示し、以上の方法でマウス樹状細胞が採取誘導可能と考えらえた。 2、樹状細胞の成熟化と貪食能に関する検討 GM-CSFとIL-4にて1週間培養された樹状細胞は通常未熟樹状細胞と考えられる。この未熟樹状細胞をさらに24時間TNFα、CD40 ligand等にてさらに刺激培養することにより成熟樹状細胞が誘導される。この成熟化を樹状細胞の貪食能にて検討するため、FITC-conjugated DextranをGM-CSF及びIL-4にて培養した樹状細胞もしくはGM-CSF,IL-4にて5日間培養した後にTNFαを添加してさらに48時間培養した樹状細胞とで比較検討したところ、GM-CSF及びIL-4にて培養した未熟樹状細胞ではDextranの貪食が盛んであったが、TNFα添加にて成熟化した樹状細胞ではDextan貪食能が低下していた。以上の結果より本研究題目である腫瘍内樹状細胞局注療法においては未熟な樹状細胞を用いることが腫瘍の貪食及び癌抗原の提示により有効であることが示唆された。 3、BALB/cマウス皮下に同系腫瘍であるMT901(mammary carcinoma MT-7のサブクローン)3X10^6個を接種し3,10,17,21日後に未熟樹状細胞1X10^6個を腫瘍部に局注して腫瘍増殖抑制効果を検討した。腫瘍部にHBSSのみを局注したコントロール群に比較して、現時点までの結果では、樹状細胞局注群において皮下腫瘍の増殖抑制が認められている。
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