研究概要 |
消化器癌症例切除組織より得られた癌細胞に対し、CD-DST法およびMTT-assayを用いたin vitro試験を行い、化学療法剤(塩酸ブレオ)感受性、ならびにG2Cp破壊をきたすpeptideであるTAT-S216(改良型ペプチド、AACR.2001発表)の化学療法剤感受性の増強効果を検討し、各種化学療法剤との併用効果をした際の至適薬剤の決定、至適用量などを基礎的検討をおこなった。使用した培養細胞株はHCT-116,SW-620(大腸癌細胞株)、PANC-1(膵癌細胞株)であり、ブレオマイシン(BLM)に対する感受性をBLMに72時間接触させることにより測定した。その結果HCT-116のIC50が最も低くHCT-116を用いて実験を施行することとした。さらにHCT-116に対し24,48時間の接触を追加し、BLMのdose-response curveを作製し、もっとも抗腫瘍効果増強が明らかとなるBLMの至適投与量は5.0μg/mlとした。これらの条件で抗腫瘍効果増強ペプチドのBLMの抗腫瘍効果増強をCD-DST法、およびMTT-assayを用いて測定した。ペプチドは200μMの濃度で使用した。実験群はBLM単独、BLM+pcptide、peptide単独、BLM+DMSO(peptideの溶媒)、DMSO単独であり、24,48,72時間接触後に抗腫瘍効果を判定した。その結果いずれの接触時間後においてもBLM,BLM+peptide,BLM+DMSOの三群の間に差は認めなかった。MTT-assayの結果も同様であった。したがって、今回の条件設定における実験結果からはpeptideのBLMに対する抗腫瘍効果の増強効果は認められなかった。今後HCT-116の培養条件に関する工夫やpeptide濃度の再検討、CD-DST法のcollagen-gel内におけるBLM,peptideの分布などの検討が必要であると思われた。
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