研究課題/領域番号 |
12671278
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 大阪大学 (2001-2002) 近畿大学 (2000) |
研究代表者 |
臼井 規朗 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30273626)
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研究分担者 |
窪田 昭男 大阪府立母子保健総合医療センター, 部長(研究職) (10161671)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | 腸管粘膜透過性 / 腸管関連リンパ組織 / 腸管粘膜免疫 / 腸管上皮内リンパ球 / 共培養 / Caco-2 / 上皮間電気抵抗 |
研究概要 |
腸管粘膜透過性に影響を与える因子として腸管関連リンパ組織(GALT)の働きが注目されつつある。本研究では腸管上皮細胞(Caco-2)の単層培養モデルと腸管上皮内リンパ球(IEL)やパイエル板リンパ球(PPL)を共培養することにより、GALTが腸管粘膜透過性に及ぼす影響を検討した。【方法】2-chambers systemのフィルター後面にCaco-2細胞を播種・培養し、分化した二極性のCaco-2単層培養モデルを作成した。上皮間電気抵抗(TEER)を測定してTight junctionの完成を確認したのち各種リンパ球をCaco-2細胞基底膜側に添加して3日間共培養を行った。リンパ球にはRaji細胞、ラット小腸パイエル板から採取したPPL、粘膜固有層から採取したLPLおよび粘膜上皮内から採取したIELを用いた。Indometacin投与により作成した腸炎ラットから採取したリンパ球についても同様に共培養を行った。【結果】Caco-2細胞を0.33cm^2あたり1×10^5個播種し10日〜14日培養するとTEERは200-300Ω・cm^2程度に達した。Raji細胞を添加して3日間共培養を行うと、添加細胞の数量依存性にTEERの減少が認められ、1×10^6個のリンパ球の添加でTEERの減少反応が得られることが明らかとなった.Caco-2単層培養モデルと1×10^6個のラットPPL、LPL、IELとの共培養ではいずれの群においてもTEERの減少を認めなかった。Indometacin投与ラットでは腸管の菲薄化・脆弱化が認められ、組織学的にも腸管粘膜の炎症が確認された。しかしながらIndometacin投与ラットから採取した1×10^6日個のPPL、LPL、IELをCaco-2単層培養モデルと共培養しても有意なTEERの低下は認められなかった。【考案および結論】Caco-2細胞単層モデルはヒトBリンパ球系cell lineのRaji細胞との共培養では粘膜透過性が変化したが、ラット小腸から採取したGALTとの共培養では、腸炎により賦活化された場合でも粘膜透過性に影響を受けなかった。細胞の由来種が異なることも一因と考えられ、粘膜透過性の変化は液性因子ではなく細胞-細胞間の直接相互作用による現象と推測されたが、GALTが腸管上皮細胞に影響を及ぼす作用機序については今後さらなる研究を要すると考えられた。
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