研究概要 |
BL/6マウスに対して四塩化炭素(CCL4)を毎週経口投与を行い,肝線維化モデルを作成した。10週間投与することにより肝線維化が得られることが確認された。CCL4投与6週目に致死線量900cGyの放射線照射を行なった後,同系のLac-Z transgenic mouseから得た5x10^6個の骨髄細胞を骨髄移植した。CCL4は骨髄移植後も引き続き経口投与した。この骨髄移植した6週目より肝細胞増殖因子HGFを遺伝子導入し,肝細胞の再生を促進させることができるかどうかを検討した。HGF遺伝子導入を毎週4週連続で行なった後,10週目に擬死させ,HGF非導入群と比較検討した。HGF非導入群では,明らかに線維化が顕著であったが,HGF遺伝子導入群では線維化率は低く抑制されていた。骨髄細胞由来の細胞の発現を確認すると,肝線維化の認められた肝静脈周囲にその発現が認められ、HGF遺伝子導入群でその発現量が多く認められた。肝細胞には骨髄細胞由来の細胞の発現は認められなかった。肝組織中の静脈周囲では骨髄細胞から動員された新たな血管の新生が確認されたが,肝線維モデルにおける側副血行路において明らかな骨髄細胞由来の細胞発現は認めなかった。肝線維化モデルでは,顕著な側副血行路の発達がなかったことが骨髄細胞由来の細胞発現が認められなかった要因であるとも考えられ一肝硬変で認められる側副血行路の発達が新生血管の発達によるものであるか否かの結論は,モデル作成を再度検討してからのものとしたいと考える。
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