研究概要 |
われわれはこれまで癌患者誘導活性化リンパ球の性状を総括し,その癌局所投与の臨床効果はIn vitroのリンパ球殺癌細胞作用や投与リンパ球との相関関係が認められず,治療前において活性化リンパ球の自己癌細胞特異性に相関し,治療後の末梢血中リンパ球ではCD16+/CD56+Tリンパ球の増減に関連している可能性を報告した.また,自己活性化リンパ球の反復治療後に患者生体において自己癌に対する特異的免疫状態が誘導できることが確認できた. 平成14年度では,本治療法の効果を向上させるため,治療用培養活性化リンパ球性状に注目し,その結果,これら培養活性化リンパ球においてCD4+CD25+リンパ球分画が強いregulation作用を示し,effector T cellの腫瘍細胞傷害性にも影響を与えた。さらに,in vitoroでのサイトカイン産生実験では,培養上清に於いてTGF-βの増加と,IL-2,IFN-γ及びTNF-αが減少することが解明された(唐ら,2003年AACR発表)。さらに,基礎研究として自己活性化リンパ球とプロテアソーム阻害薬との併用実験を行い,その相乗効果を確認した。まず,プロテアソーム阻害薬(PS-341)と免疫活性化分子TRAILの併用により乳癌,メラノーマ細胞株などに対し,細胞傷害性の増強が確認されたほか,プロテアソーム阻害薬(PS-341)処理した乳癌細胞株(MDA-231)においては,Western Blotting解析によりApoptosisのDeath receptor pathwayにおいてIAPs発現が減弱し,Bcl-2,Casepase-9,-8,-3などへの影響は認められなかったことから,プロテアソーム阻害薬(PS-341)抗癌細胞の免疫反応増強作用はアポトシス経路に関連していることが示唆された(唐ら,日本癌学会2002発表).
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