研究概要 |
(1)Diode Laser Indigo 830による肺組織焼灼効果の検討 ビーグル成犬(8kg)に対し片肺分離換気下に正常肺を無気肺の状態にしてDiode Laser Indigo 830を用いて80℃,5分間照射したところ、肺の凝固範囲は平均25x10mmであり、90,100℃のそれとほぼ同等で、70℃,5分の15x5mmより広い範囲が焼けた。また90,100℃では一部に壊死層が確認された。静肺コンプライアンスは21.2ml/cmH_2Oが7.1ml/cmH_2Oと33.5%に低下した。80℃7minの焼灼で最も効果的な組織凝固が得られた。 (2)肺胞壁凝固の至適条件 肺の状態が肺の凝固にどのように影響するのかを検討した。条件として(1)膨張肺で自発換気がされた状態(2)膨張肺で片側主気管支がフォガティーバルーンカテーテルにより閉塞され、換気が停止した状態(3)一部胸壁に穴を開け開胸状態にして片肺を完全に虚脱させた状態、の3種類の状態を作成した。その結果(1)ではまったく肺内温度の上昇がみられず、焼灼効果は得られなかった。(2)の条件では多少の組織学的変化が認められた。一方(3)ではかなり明瞭な焼灼効果をみとめその範囲も広かった。以上の結果より肺虚脱下で加熱することが、最も効率がよいことが判明した。 (3)肺気腫モデルの作成 パパイン40mg/kgの気管内吸入により1ヶ月後にミニブタの肺気腫の程度を評価するため、呼吸メカニクス計測器を使用して、気道内圧およびflow volumeをもとに気道抵抗とcomplianceを測定した。その結果静肺コンプライアンスはパパイン吸入前23+/-3.5ml/cmH2Oが吸入1ヶ月後には33.3+/-4.6ml/cmH2O(n=3)と有意な上昇が認められた(p<0.01)。病理組織学的にも肺胞構造に破壊による気腫性変化の進行が確認された。 (4)肺気腫成犬モデルに対するdiode laserの効果 肺気腫作成前後およびlaser照射後(図7)の呼吸機能を測定した。その結果静肺コンプライアンスは21.2+/-3.7ml/cmH20が7.1+/-2.5ml/cmH20と約33%に低下した。これに同様のレーザー照射を行ったところ13.8ml/cmH2Oと再上昇を示した。
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