虚血性心疾患の新たな術式として注目を集めている人工心肺を用いない冠動脈バイパス術に対し冠動脈遮断吻合中の末梢の心筋保護として冠動脈遮断吻合中の末梢の血流確保用に心拍同期型の能動的な自己血潅流装置を開発した。システム構築、カニューレ開発及び至適潅流量、潅流圧の設定を行いその有用性と効果発現機序を明らかにし臨床応用を行った。 反復駆動型シリンジポンプを用いて心拍動に同期して拡張期に能動的に自己血を潅流するシステムの完成に成功した。 雑種成犬を対象とした研究では心電図による虚血性変化、体血圧、肺動脈圧、心拍数、血中トロポニンT値。とも無処置群に比べ冠動脈潅流群で虚血の改善が認められた。至適潅流量、同期timingはR-R intervalの40%において最小潅流量を得ることができた。左前下行枝での検討では0.02ml/beat/10Kgで十分な至適潅流量が得られた。今後Off-pump CABGが普及するにしたがい本システムの有用性は極めて高くなるものと考えられる。
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