研究課題/領域番号 |
12671311
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
佐野 由文 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (60322228)
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研究分担者 |
伊達 洋至 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (60252962)
青江 基 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (80260660)
永広 格 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (00311803)
清水 信義 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90108150)
安藤 陽夫 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (70222776)
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キーワード | 肺移植 / 急性拒絶反応 / 抗ドナー抗体 / フローサイトメトリー / 蛍光抗体法 / サイクロスポリン |
研究概要 |
異系間ラットの肺移植モデルを用い、肺移植後レシピエントの血清中抗ドナー抗体価をフローサイトメトリーを用いて経時的に測定、また同時に移植肺における抗ドナー抗体沈着の様子を蛍光抗体法により観察した。 レシピエント血清中の抗ドナー抗体は移植後2日目、mild rejectionの段階で有意に上昇していたが、この段階では移植肺において抗ドナー抗体の沈着は見られなかった。移植後4-6日(moderate severe rejection)においては抗体価はさらに上昇したが、抗IgM抗体の上昇は抗IgG抗体の上昇に比べて大きかった。移植後8日後(severe rejection)では抗IgM抗体価は下降したが、抗IgG抗体はさらに上昇を続けた。移植肺における抗ドナー抗体の沈着は拒絶反応の進行とともに広範に見られるようになった。同系ラット間の肺移植においては血清中の抗ドナー抗体価、移植肺の抗ドナー抗体沈着は全く見られなかった。 以上の結果より、肺移植後レシピエント血清中の抗ドナー抗体価は移植後早期にmild rejectionの段階において有意に上昇してくることがわかった。またこれは移植肺における抗体沈着に先駆けて起こるという事が判明した。したがってこの方法を用いることによって肺移植後の急性拒絶反応を非侵襲的かつ特異的に測定しうる可能性が示唆された。 さらにより臨床に近い実験系として、低用量サイクロスポリン(CyA)投与後中止することによって急性拒絶反応を起こし、レシピエントの血清中抗ドナー抗体価の推移を観察、臨床応用の可能性を検討した。 まず至適量のCyAを投与すると、抗体産生は抑制された。さらに低用量CyAを投与後中止した場合、まずIgM,次にIgGの有意な上昇を認めた.これは移植臓器が完全に拒絶される重度拒絶前にクラススイッチを認めた事を示していると思われる。また最初のIgMの上昇はすでに4日目に見られ,この時の拒絶の程度はほぼmild-moderate rejectionと早期であった。このことよりIgMの初期上昇の検出はやはり急性拒絶の診断に有用となると考えられた。
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