臨床使用の最短距離にあると考えている可変バキュームによる脱血、術野血吸引、着脱型ローラーポンプ2基による送血、商品化されている低充填量の膜型肺の組み合わせのシステムの信頼性・安全性を実証するために、通常の人工心肺装置を用いた体外循環の最長を6時間と仮定して、その4倍の24時間連続使用による耐久性試験を模擬回路下に行った。2回行ったが、耐久性に問題はなかった。このシステムでは陰圧下にあるリザーバーと脱血槽との間にポンプを用いているので、これをディスポーザブルな弁代用させることでポンプを1基にすることを検討中である。雑種成犬5頭を用いた耐久性試験では体外循環開始2時間頃から溶血が増加し、この対策を考慮中である。今年度は途中からの研究開始でこのシステムを麻酔器に組み込んだ臨床検討には至らなかった。 人工心肺装置を小型化・ディスポ化するのが基本的なコンセプトであり、通常の手術室に常備されているものは利用の対象と考え、手術室常備の吸引用の陰圧を可変バキュームに導き脱血槽やリザーバー内に陰圧をかけたシステムを考案したが、平行して、手術室常備の圧縮空気を利用して、空気駆動式ポンプのごとく陽圧で膜を押し出し、スプリングで膜を戻すことで、送血、脱血、術野血吸引を行うシステムも試作し、模擬回路で検討している。
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