研究概要 |
【背景】近年高齢者の胸部大動脈瘤症例が増加しつつありこれらの症例では合併疾患が多く,high riskなため通常の外科手術を施行できない症例も多い。この様な症例に対し低侵襲の治療である(1)経カテーテル的に人工血管を移植吻合する治療(2)自動吻合器を用いて外科手術を大幅に短縮するという2つの方法を可能とするべく人工血管自動吻合装置を開発しその有効性について検討した。 【方法】本研究開始当初形状記憶合金を用いたU字型のstaplerを開発in vitroの実験を行ったが、吻合後staplerによる人工血管-大動脈の吻合が不確実であっったため、staplerに改良を加え、stainless製のものを用い、staplerの打ち込みの際にはstaplerを押し出すpusherと突き抜けたstaplerを屈曲させ大動脈、人工血管を強固に固定するために吻合部の全外周に及ぶstainless製の受け皿を作成した。Staplerは一度に全周で18個を打ち出されるようにした。この装置を用いてin vitroの実験を行った。 【結果】この装置によりin vitroで5回の人工血管-人工血管間の吻合を行った。staperの打ち出しはスムーズでありstaplerは残らず打ち出された後、内側に屈曲され、人工血管と人工血管の間は強固に、隙間なく接続された。引っ張り試験では20kgの張力をかけ、いずれも吻合部の形態を変化させることなく吻合部の強度を保ち得た。 【考察】in vitroではこの自動吻合装置が必要かつ十分な吻合を短時間に行い得るという結果を得た。これをふまえ引き続きin vivoにてこの装置の有効性を確認していく予定である。
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