研究概要 |
近年我々はMGの原因として胸腺内におけるnegative selecticmの異常が一因であるのではないかと考え、ヒト胸腺細胞を用い研究をすすめてきた。in vitroにおけるnegative Selectionのモデルとしてanti-CD3+CD28抗体でapoptosisを誘導し、caspase-3の活性を証明した。この結果はマウスなどの動物実験を用いた方法では既に報告されているがヒト胸腺細胞を用いた結果はこれが始めてである。しかしcaspase阻客剤であるzVAD, fmkの存在下では、caspase-3は完全に阻害されたが、アポトーシスは完全には阻害されなかった。また顕微鏡で核の形態を観察したところ、核クロマチンの凝集は部分的でapoptotic bodyは見られなかった。この核の形態変化はcaspase independent pathwayの一つであるAIFによる働きと一致していた。そこで我々はzVAD.fmkの存在下でapoptosisを誘導しAIFの発現をフローサイトメトリーを用い解析した。AIFの発現は刺激後3h後よりみられzVAD, fmkの存在により影響が見られなかった。これはT細胞のnegative selectionにはcaspase dependent and independent pathwayとしてAIFが関与していることを示している。しかし発現を確認しているが本当に核に移行し機能しているかどうかなどの機能的な解析は不明のままである.今後MG合併胸腺においてapoptosisの機構が正常とは異なることが証明されれば、MGに対する原因追及に大きなインパクトがありまたMGに対する遺伝子導入治療の可能性がひらけると期待できる.
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