研究概要 |
本研究の目的は脊髄グリオーマと頭蓋内グリオーマにおいて組織像は同じであっても、生物学的悪性度の異なる群を層別化し、各群での分子病態の差異を検索し、悪性度の差に伴って異なる分子病態はなにかを明らかにすることにある。本年度は以下の成果を得た. 1)脊髄ependymomaと頭蓋内ependymomaの増殖能をMIB-1染色で比較したところ,脊髄ependymomaに比べ,頭蓋内ependymomaではMIB-1 indexが有意に高く,増殖能に差があることが判明した(Br J Neurosurg,2000). 2)15例のependymomaのp53変異を酵母機能アッセイにて検討した結果,頭蓋内,脊髄ependymomaともp53の変異がないことが判明した.ただし,grade III頭蓋内1例にcodon 259GAC(Asp)→GTC(Val)の変異が見いだされた. 3)脊髄ependymoma8例,脳ependymoma6例につき,DNAアレイによる遺伝子発現パターン解析の準備が終了し,3月中にデーター取得を行い,解析の予定である. 次年度はastrocytomaについても解析を行い,DNAアレイ解析をすすめ,脊髄グリオーマと頭蓋内グリオーマにおける遺伝子発現パターンを明らかにし,それら遺伝子につき機能的解析を進める予定である.
|