研究概要 |
本研究の目的は脊髄グリオーマと頭蓋内グリオーマにおいて組織像は同じであっても、生物学的悪性度の異なる群を層別化し、各群での分子病態の差異を検索し、悪性度の差に伴って異なる分子病態はなにかを明らかにすることにある。本年度は以下の成果を得た. 1)1300遺伝子を厳選し、スポットした、独自のアレイをGeneticLab社と共同開発、119種の癌細胞株のRNAサンプルにてそのアレイによる遺伝子発現プロフィールを検討し、良好な成績を得た。 2)脊髄ependymoma8例、頭蓋内ependymoma8例の計16例を上記DNAアレイにて解析、脊髄ependymomaに特徴的な遺伝子として、H-ras, M-ras, NCAM, ICAM-2, PDGFR-α, FGFR-3, p19INK4dなど46遺伝子を、頭蓋内ependymomaに特徴的な遺伝子としてVEGF,p57Kip2,MIP3α,MDM2,cyclinD3,TGFβ2など38遺伝子を抽出しえた。 3)脊髄・頭蓋内ependymomaはこのようなDNAアレイデータをもとにクラスター分析にてよく分離され、遺伝子発現はそれぞれ異なったプロフィールを持っていることが判明した。 次年度は症例を増やしてDNAアレイ解析をすすめ、脊髄と頭蓋内グリオーマにおける遺伝子発現パターンを明らかにし、MDM2など興味深い遺伝子を中心に機能的解析を進める。
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