研究概要 |
RPMI1640(SIGMA)、10%FBS(Equitech-bio)、100μ/mlのkanamycin(GIBCO)により培養したPC12細胞に対し、FuGENE(Roche)kitを使用して、ベクターのpBK-CMVとpBK-CMV-HSP70DNAのtransfectionを行った。pBK-CMVにcodeされている抗生物質耐性を利用し、400μg/mlのgenticinを用いてselectionした。遺伝子導入の確認にはpBK-CMVにcodeされているβ-galactosidaseの発現を利用しβ-gal染色を行った。またHSP70に対するpolyclonal antibodyを用いて、Western blottingを行い、HSP70蛋白質の過剰発現を確認した。以上の操作によりベクターであるpBK-CMVのみが発現している細胞系とHSP70蛋白が過剰発現している細胞系を確立することができた。 そこで、wild群,ベクター発現細胞(pBK-CMV群),およびHSP70過剰発現細胞(HSP70群)の3種類のPC12細胞を用いてHSP70の細胞保護効果を検討した。付加刺激としては、過酸化水素水(H_2O_2)を用いた。培地内に50、100、150μMのH_2O_2を加えて培養を行い、MTTを用いて24時間の細胞生存率を測定したところ、H_2O_2が50μMではwild群:74.3±3.2%、pBK-CMV群:64.0±3.5%、HSP70群:104.6±2.1%、100μMではwild群:33.3±4.4%、pBK-CMV群:30.5±4.7%、HSP70群:76.5±5.2%、150μMではwild群:14.8±3.7%、pBK-CMV群:11.4±2.7%、HSP70群:37.8±1O.2%と、何れの濃度においてもHSP70群の生存率が有意に高く、HSP70がH_2O_2負荷に対する細胞保護効果を有することが示された。
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