研究概要 |
1.細胞内PAFacetylhydrolase発現アデノウイルス アデノウイルスベクターを用いて神経細胞にモルモット血漿型PAFacetylhydrolaseをoverexpressionすると、アポトーシスが抑制された。同時にTBA法により脂質過酸化の程度が低下しており、MTT法でミトコンドリアの機能が保持されていることが分かった。PAFacetylhydrolaseによる酸化脂質の分解によってミトコンドリア機能が守られることがアポトーシス減少に関与している可能性が示唆された。この結果はBrain Res(885:128-132,2000)に発表した。単量体のPAFacetylhydrolaseは細胞内にも存在する。細胞内PAFacetylhydrolase発現アデノウイルスを作成し、グルタミン酸神経毒性の防御に関する効果について、血漿型PAFacetylhydrolaseと比較することを現在試みているが今回の報告書に結果を示すことができなかった。 2.クモ膜下出血(SAH)後の脳血管攣縮予防に対する抗PAF受容体拮抗薬の応用(臨床研究) PAF受容体拮抗薬E5880のSAH後の脳血管攣縮及びこれに伴う脳虚血症状に対する前期臨床第II相試験を行った。日本国内の11の脳神経外科施設で参加したSAH患者は71例であった。安全性と有効性が示された。この結果は論文として発表した。 2.抗PAF受容体拮抗薬の慢性硬膜下血腫の再発予防効果 抗不安薬であるetizolamは抗PAF受容体拮抗薬としての作用も有する。慢性硬膜下血腫の手術後にetizolamを投与した群と投与しなかった群をprospectiveに再発の症状、頭部CT上の残存血腫体積を比較し、etizolamが慢性硬膜下血腫再発を予防することを初めて示した。これらの結果は、学会、論文として発表した。
|