研究課題/領域番号 |
12671347
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
坂井 昇 岐阜大学, 医学部, 教授 (10021487)
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研究分担者 |
森 秀樹 岐阜大学, 医学部, 教授 (70021433)
野田 伸司 岐阜大学, 医学部・附属病院, 助手 (70303500)
篠田 淳 岐阜大学, 医学部, 助教授 (50273131)
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キーワード | angiogenesis / brain tumor / β-catenin / glioblastoma multiforme / glioma / immunohistochemistry / AgNOR |
研究概要 |
血管新生は脳腫瘍における重要な悪性所見のひとつであるが、腫瘍血管の接着因子について解析した報告は少ない。β-cateninは接着因子であるカドヘリンの細胞内裏打ち蛋白として知られる。今回我々は脳腫瘍の血管増生に対するβ-cateninの関与について、N-ethyl-N-nitrosourea誘発rat脳腫瘍45例を対象に、その免疫染色を行うと共に、AgNORを用いた増殖能評価との比較から解析を行った。その結果、β-cateninの局在は正常血管では血管細胞の細胞間に限局して認められたのに対し、腫瘍血管では細胞質、及び核へと変化し、腫瘍の悪性化に伴ってその頻度が増加した。AgNORで評価された腫瘍血管の増殖能は正常血管に比して有意に高く、腫瘍細胞の増殖能と相関が認められた。すなわち腫瘍血管は正常血管に比して増殖力が高く、β-cateninの局在が変化していた。以上より、この局在の変化が腫瘍血管の増生と何らかの関与を有している可能性が示唆された。 次にヒトGlioblastoma(GBM)32例を対象とし、正常脳10例との比較検討を行った。その結果、ヒト正常脳血管でも、β-cateninは全例に於いて血管細胞の細胞間に局在が確認されたのに対し、GBM内の腫瘍血管では、細胞質(81.3%)及び核(12.5%)に移行し、その局在変化が観察された。GBM内の糸球体様増殖をはじめとするirregularな形態を呈する血管増生部にも局在変化が確認された。 β-cateninは接着因子の関連蛋白としてだけでなく、大腸癌に報告されるtumorigenesis、及び細胞の極性への関与など、その機能は多彩である。本研究に示された腫瘍血管におけるβ-cateninの局在変化の結果から、β-cateninが腫瘍血管の増殖と形態変化への関与を通して、脳腫瘍の血管増生に関与する可能性が示唆された。
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