研究概要 |
1、Deep prepiriform cortex破壊後の蛋白発現の変化の検討 (1)グルタミン酸トランスポーター(GLAST,GLT-1,EAAC-1)については、8時間目にGLT-1が海馬と大脳皮質に発現し始め、48時間目にピークを認めたが、GLASTとEAAC-1は発現しなかった。 (2)グルタミン酸受容体サブユニット(GluR2)については、8時間目に海馬と特に大脳皮質に発現し始め、24時間目にピークを示した。 (3)アポトーシス関連因子(bcl-2,bax)については、8時間目にbcl-2が海馬で発現し始め、24時間目にピークを示したが、baxの発現は認めなかった。 2、Deep prepiriform cortex破壊後の遺伝子発現の変化の検討 (1)グルタミン酸トランスポーターについては蛋白発現の認められたGLT-1においてのみ検討した結果、4時間目から海馬と大脳皮質に発現し始め、8〜24時間目にピークを示した。 (2)グルタミン酸受容体サブユニット(GluR2)については、4時間目に海馬と特に大脳皮質に発現し始め、24時間目にピークを示した。 (3)アポトーシス関連因子については蛋白発現の認められたbcl-2においてのみ検討した結果、4時間目から海馬に発現し始め、8〜24時間目にピークを示した。 3、以上のことから、deep prepiriform cortex破壊後にはGLT-1が発現することによりグルタミン酸の再取り込みが促進され、GluR2が発現することにより細胞内へのカルシウム流入が低下し、さらにbcl-2が発現することでアポトーシスが防止され、結果としてdeep prepiriform cortex破壊後の脳は虚血に対して抵抗性を持つことが予想される。次年度は実際の虚血脳での保護効果につき検討する。
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