研究概要 |
てんかんモデルラットとしてcortical dysplasia ratを作成中である。妊娠16日目のラットに放射線(150,175,200 rad)を全身照射した後に生まれた生後一ヶ月のラットを対象とし、てんかん発作の生じ方を24時間ビデオ・脳波モニターでチェックする。現在のところ、行動の変化はみられるものの明らかなてんかん発作を生じるラットは得られていない。さし当たり、ラットを環流固定してHE染色にてcortical dysplasiaの有無、程度、部位等を確認する予定である。 また、神経脱落モデルとしては、ラットの一過性前脳虚血モデルを用い、ラット海馬由来神経幹細胞の移植を行った。Fischer ratに4-vessel occlusionによる一過性脳虚血負荷を加えると、遅発性に海馬CA1領域の神経細胞脱落がおこり、空間認識あるいは記憶力の低下が生じる。すなわち、水迷路試験による学習効果が低下する。このラットの海馬にgreen fluorescent protein(GFP)遺伝子を導入した神経幹細胞を移植したところ、細胞の生着率は数パーセントと低値ではあったが、移植細胞の生着がみられ、その一部はニューロン(免疫染色でNeuN陽性)へと分化し、神経突起様の構造もみられた。水迷路試験による行動解析をおこなったところ、細胞生着率なかでもニューロンへの分化率の高いラットにおいて学習効果の改善がみられた。このことは、海馬における神経脱落による機能低下を神経幹細胞移植によって改善しうる可能性があることを示唆する。
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