研究概要 |
39例のanaplastic astrocytoma(AA),54例のglioblastoma(GB)について,p16,p14,MDM2,p53の発現を免疫染色により解析した.INK4a遺伝子の構造異常についてSouthern blot解析とsequence解析を行った.(結果)AAの23/39(59%),GBの27/54(50%)でp16,p14は共に発現していなかった.AAの5/39(13%),GBの12/54(32%)でp16の細胞質内蓄積を認めた.その一部でpoint mutation(83His→Tyr)(54Met→Thr)が検出され,その領域はp16の核移行シグナル配列である可能性が考えられた.AAの11/39(28%),GBの10/54(19%)でp16,p14の核内での発現を認めた.P14の核内発現を認める21例中13例ではp53遺伝子異常を伴っていたが,残る8例ではp53は正常であった.これらの症例では,p53経路のうち,p53,p14以外の分子の異常が腫瘍化に関与していることが考えられた.(結論)p16の発現異常が見られる症例では同時にp14の発現異常を伴っていた.INK4a遺伝子の核移行シグナル配列のpoint mutationがp16,p14の細胞質内蓄積に関与していること考えられた.
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