研究概要 |
今年度は、グリオーマ治療に対して臨床応用の可能性の高い、OHAP-1について検討した。 I)生理活性を有するハブ毒素蛋白分画OHAP-1(分子量55kDa)のN末端アミノ酸構造解析、II)移植腫瘍に対するOHAP-Iの腫瘍増殖抑制効果の研究を行った。方法は、I)cDNAシークエンサーを用いて、全塩基配列を同定した。II)ラット皮下にC6グリオーマ細胞(5x105ヶ)を移植し、移植後10日目にOHAP-I,1000ug/mlを7日間連日腫瘍局所に注射し、コントロール(0.01MPBS, PH7.5,200ug)と腫瘍サイズを比較検討し、さらに組織学的にアポトーシス細胞の出現率、腫瘍血管の増殖の程度を免疫組織学的に検討した。 【結果】I)-1)全塩基配列決定よりOHAP-1は、L-amino acid oxidaseであることが判明した。II)-1)局注1-4日までは腫瘍体積に対照群と有意差がないが、5日目より局注群に腫瘍サイズの減少が著明となった。II)-2)局注群で腫瘍体積が減少した組織には、アポトーシス細胞が有意に増加し、腫瘍の全層に見られた。II)-3)腫瘍内の腫瘍血管数は、コントロールに比して局注群では著明に減少していた。【総括】OHAP1は腫瘍血管新生の抑制による腫瘍増殖の抑制も示唆していた。沖縄ハブ毒素から分離精製したOHAP1がin vivoでもグリオーマ細胞のアポトーシスを誘導でき、腫瘍の増殖と血管形成に対して抑制効果を認めた。 OHAP1の抗腫瘍効果を期待できると考えている。
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