研究分担者 |
青木 喜満 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (10192858)
遠山 晴一 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (60301884)
安田 和則 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20166507)
伊藤 浩 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (80261296)
|
研究概要 |
【方法】 1.実験動物としてWistar系rat36匹を用いた。これらのうち,27匹の右膝蓋腱に対してin situ凍結解凍処理を行い,左膝蓋腱に対してはsham手術を行った。 2.術後3,6,12週で各9匹ずつ屠殺し,4匹は免疫染色に,残りの5匹は定量的RT-PCRに供した。なお無処置9匹の膝蓋腱を正常対照とした。 3.III型collagen発現の検討のための免疫組織化学的観察に関しては,抗III型collagen抗体によるSABC法にて細胞分布とIII型collagen発現の関係を観察した。 4.III型procollagen mRNAの検討のため,逆転写した試料とcDNA standardに対してPCRを同時に施行し検討した。 【結果】 1.凍結処理後3および6週において表層よりの細胞浸潤周囲にIII型collagen発現が認めた。また,処理後12週においては膝蓋腱全層にわたり,III型collagen発現が出現していた。一方,sham手術膝蓋腱においてはいずれの時期においてもIII型collagen発現は認められなかった。 2.定量的RT-PCRに関しては,術後6および12週の凍結処理腱のIII型procollagen mRNAの発現量はそれぞれ内部対照GAPDHの4.9±3.7%および4.5±2.6%と,sham手術の0.1±0.2%および0.0±0.0%に比し有意に高値を示した。 【考察】 III型collagenは小径collagen fibrilを形成することを考慮すると,本研究が明らかとした浸潤細胞のIII型collagen過剰産生は,研究者らが以前報告したin situ凍結解凍処理後の膝蓋腱に生じる小径collagen fibrilの増加,断面積の増加および力学的特性の低下の機序の1つであることが示唆された。
|