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2000 年度 実績報告書

肩関節多方向不安定症の病態と下方関節包縫縮術の作用機序に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 12671392
研究機関秋田大学

研究代表者

井樋 栄二  秋田大学, 医学部, 助教授 (80193465)

キーワード肩関節不安定症 / 多方向不安定症 / 下方関節包縫縮術 / 関節内圧 / 動揺肩
研究概要

予備実験:関節腔の容積が変わることにより容積変化に対する関節内圧の変化が変わる可能性がある。そこで予備実験として、生食を20、10、5ml注入した3種類のシリンジを用意し、各シリンジにおける容積と内圧の関係を調べた。容積変化に対する内圧変化は、生食20mlのときに最小で、生食5mlのときに最大(20mlのときの約4倍)であった。すなわち内容積が大きいほど一定量の容積変化に伴う圧変化が小さいことが判明した。
本実験:腱板断裂や変形性関節症のない新鮮屍体肩の下方関節包を十分に展開した後、肩甲骨を肩関節固定装置に上肢下垂位で固定した。内圧測定用トランスデューサーに接続した22G注射針を後上方の関節包から穿刺し、関節内圧を測定した。またX線を用いて肩関節正面像を撮影し、骨頭中心の関節窩に対する位置を計測した。関節包の状態を正常、5mm幅の前方関節包縫縮、前方に加えて5mm幅の後方関節包縫縮、の3段階に変化させ、各条件下に下方負荷を0kg、0.5kg、1kgと変化させたときの関節内圧と骨頭位置を計測した。次に関節内圧を除去した状態で同様に関節包縫縮を行ない、下方負荷時の骨頭の偏位を計測した。最後に関節包縫縮前後の関節容積を測定した。結果は、下垂位での関節内圧は負の値を示し、下方牽引負荷をかけることにより負の値が直線的に増加した。関節包縫縮後にも同様の関係がみられ、関節包縫縮の有無に関わらず、下方負荷時の骨頭偏位は0.5mm以内に留まった。関節内圧除去後は、下方偏位は著しく増大し、正常関節包では下方へ脱臼、前方関節包あるは前方、後方関節包を縫縮した後でも下方へ亜脱臼を呈した。関節腔容積は前方関節包縫縮後に33%減少、後方関節包縫縮も追加した後には67%減少した。以上のことから、下方脱臼、亜脱臼を防止するのは関節包縫縮の直接効果ではなく、関節内圧を介した効果であることが判明した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Itoi E: "The effect of a glenoid defect on atneroinferior stability of the shoulder after BAnkart repair."J Bone Joint Surg. 82-A. 35-46 (2000)

  • [文献書誌] Halder AM: "Anatomy and biomechanics of the shoulder."Orthop Clin North Am. 31. 159-176 (2000)

  • [文献書誌] 井樋栄二: "動揺肩の病態"日整会誌. 74. S259 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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