研究概要 |
平成13年度は主にヒト骨肉腫由来骨芽細胞様細胞、MG-63を用い、チタン顆粒の存在下で培養した際の骨芽細胞様細胞の反応を中心に解析を行った。チタン顆粒の濃度が高くなるにつれて、生存率、増殖能が低下することを前年度に確認したが、本年度はLight Cyclerを用いた骨芽細胞機能関連蛋白、特に蛋白分解酵素とその阻害物質に焦点を絞り核酸レベルでの定量的解析を行った。骨芽細胞様細胞とチタン顆粒の共培養系において、12時間という短時間の培養ではMMP-1の発現は更新し、24時間を超えるとMMP-1,2などの蛋白分解酵素や、TIMP-1、2といった蛋白分解酵素阻害物質のmRNAの発現が低下することが明らかとなった。これらのことから骨とインプラント間に存在するチタン顆粒は、1)MMP-1による骨基質の分解を促進して破骨細胞を接着させやすくすること、また2)チタン顆粒が高濃度になおかつ長期にわたって存在する場合には骨芽細胞の機能を抑制すること、などの機序によってインプラント周囲の骨吸収、骨融解に働く可能性が示唆された。 平成14年度は第1にチタン顆粒存在下での骨芽細胞における破骨細胞機能修飾サイトカイン(IL-6,M-CSF,RANKL)やケミカルメディエーター(PGE2)の発現を解析する。第2にチタン顆粒と炎症性サイトカイン(TNF-α,IL-1β)存在下での骨芽細胞の反応について調べその制御因子を明らかにする。最終的にはマウス頭蓋骨膜下にチタン顆粒を幡種するモデルを用い、骨吸収抑制因子を明らかにする予定である。
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