研究概要 |
^<18>Fで標識したグルコースの誘導体であるFDGを患者に投与して、腫瘍への集積をポジトロンCT(PET)で解析するFDG-PETが骨軟部腫瘍の術前診断、特に良悪性の鑑別や転移病変の有無の検索に有用であることが着目されている。私たちの今回の研究の目的は,FDGの集積機序を解明することであり,臨床および基礎的な二つの面からアプローチした。 1.臨床面からの研究成果 骨軟部腫瘍で一般診療で診察治療する疾患におけるFDG-PETの有用性を確認した。悪性腫瘍の診断のsensitivityは、高いものの良性疾患にも強い集積をするものがある事が確認された。また、小数例ではあるがFDGの集積とPHIのmRNAの発現に関連がある事が判明した(発表論文1)。これらの問題点を克服する手段として、蛋白代謝を反映するmetyl-tyrosineを使ったPETを骨軟部腫瘍に適応して高い判別効果を得、臨床応用の有用性を確認した(発表論文2)。また、単一疾患をまとめて、他の画像診断とのFDGの集積の関連を調べ、血流との相関を示唆する知見を得た(発表論文準備中)。 2.基礎的研究面からの成果 今年度は、培養器を購入し、培養条件の設定を行った。予備的実験でFDGの集積の高い条件では転移が多くなる傾向を認めたが、有意差を得るまでには至らなかった。また、骨分化マーカーを確認した骨肉腫の同定を行い(発表論文投稿中)、実験動物におけるモデルの作成に至った。 以上の結果を基に、13年度は臨床症例をふやし、その確実性を高めるとともに、実験面では、in vivoとin vitro両面から、FDGの腫瘍細胞における集積機序を検討する予定である。
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