研究概要 |
Cartilage-derived Retinoic Acid-Sensitive Protein(CD-RAP)の臨床応用を目指し、各種臨床検体を用いCD-RAPをELISAで測定し、その濃度と疾患との関連を検討した。変形性膝関節症(OA)及び慢性関節リウマチ(RA)の患者より得られた膝関節液中のCD-RAP濃度は、RAに比べOAで有意に高値であった。また、OA,RAともに疾患早期に高値を示し、疾患の進行とともにその値は低下した。関節液中CD-RAP濃度は、関節内の軟骨代謝を、客観的に示すマーカーになると考えられる。次に各種疾患患者の脳・脊髄液中のCD-RAP濃度を測定した。脊柱管狭窄性病変を持つ患者では、コントロール群に比べ有意に高値を示した。脳・脊髄液の生化学検査で、今までに疾患との関連を示した報告はほとんどなく、脳・脊髄液中CD-RAP濃度測定は、簡便に脊柱館内の狭窄性病変の有無を検索できる方法であり、臨床上非常に有用である。 今後は、1)症例数を増やし疾患マーカーとしてのCD-RAPのsensitivityとspecificityを検討する。2)各疾患におけるCD-RAP産生の機序を明らかにし、病態解明に役立てること等を予定している。
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