関節軟骨欠損の修復について、家兎の膝関節をモデルとしてヒアルロン酸スポンジをcarierとし、bFGFを局所に徐放したもので関節軟骨の修復を観察した。 まず家兎の大腿骨顆間部に直径4mm径の骨軟骨欠損を作成し、これに対してbFGF1μgを含浸したヒアルロン酸スポンジを充填した。ヒアルロン酸スポンジはラットの皮下で1週間で溶解するものを用いた。bFGFはゼラチンの粒子を作成し、これにbFGFを吸着させ、ゼラチンの生体内での分解によってbFGFを約2週間局所に徐放させた。対照としては直径4mm径の骨軟骨欠損のみのコントロール群」、直径4mm径の骨軟骨欠損にヒアルロン酸スポンジを充填したヒアルロン酸スポンジ群を用いた。術後4週、12週、25週、50週にて経時的に屠殺し、肉眼的、組織学的検討を行った。肉眼的には4週、12週では骨軟骨欠損は組織で十分には充填されていなかった。25週、50週ではbFGF使用群では組織が十分充填されていた。組織学的観察では4週、12週ではヒアルロン酸スポンジの溶解性が早く、組織の骨軟骨欠損部への充填が不十分であり、それぞれの群で明確な差異は認められなかったが、25週、50週においてヒアルロン酸スポンジ+bFGF使用群では抗type2 collagen抗体陽性の軟骨様組織で修復されており、軟骨の再生が促進される傾向がみられた。一方ヒアルロン酸スポンジ使用群とコントロール群では骨軟骨欠損部の組織の充填がヒアルロン酸スポンジ群で優れていた。術後4週、12週での軟骨再生が不十分であると考えており、今後さらにヒアルロン酸スポンジの溶解性を調節して適当な生体内での溶解性を検討する。また他の成長因子の除放を行って関節軟骨の再生を観察する予定である。
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