研究概要 |
ラットの座骨神経を片側のみ切断し、そのままとした群(切断群)、切断後縫合した群(縫合群)にわけ、切断後1,2,3,4,6,8,12,16週後に、切断部位より近位を8mm、遠位も同様に8mm採取し、それぞれを別々にガラスホモゲナイザーでつぶして、遠沈をかけ、その上澄み液を採取することにより、カルパインのSDSサンプルを作成した。それぞれのサンプルの総蛋白量を量り、一定の蛋白量のSDSサンプルを電気泳動し、カルパインのWestern blottingを行った後、デンシトメーターにて、各時期、各部位でのカルパイン量の生化学的半定量を行った。その結果、切断群の近位8mmでは、1週からmカルパインが出現し、8週で最大となり、16週でも減衰傾向は見られなかった。この現象は遠位8mmでも同様に、mカルパインは8週で最大となり、16週でも減衰傾向は見られなかった。しかし、縫合群では、近位8mmでは、mカルパインは1週で出現し、8週で最大になるところまでは切断群と同様であるが、その後mカルパインの量は経時的に減衰していった。同様の現象が縫合群の遠位8mmでも見られ、mカルパインは1週で出現し、8週で最大になるが、その後経時的に減衰していった。すなわち、縫合群は8週以降縫合部周辺のmカルパインの量が減少していき、切断群は8週以降もmカルパイン量は不変である。これは、カルパインが軸索の再生を阻害している結果ともとらえることが可能かと思われる。現在、免疫組織学的に、mカルパインの局在部位及び経時変化を追求しているところである。
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