研究概要 |
本研究ではラット大腿骨の骨延長実験モデル(Yasui N et al. JBJS 1997)を用いて、延長仮骨におけるRunx2遺伝子の発現をin situ hybridization法により観察した。生後8週のラットの大腿骨骨幹部を骨切りし、術後7日間の待機期間をおいて創外固定器を用いて0.5mm/dayで延長を開始した。延長仮骨の組織像を観察すると、延長初期には旺盛な内軟骨性骨化がみられるが延長が進行するとともに軟骨性仮骨は消失し膜性骨化に置き換わることが分かった。また内軟骨性骨化と膜性骨化の橋渡し機構として第3の骨形成の様式「類軟骨性骨化」が存在した。 延長仮骨ではBMP-2およびBMP-4遺伝子が過剰に発現されていることがわかっている。そこでBMP-2やBMP-4の下流にあるRunx2/Cbfal/Pebp2aAの遺伝子発現in situ hybridization法により観察したところ、Runx2は骨切り後4日目の類軟骨組織に強い発現が観察された。延長開始後も幼若な軟骨細胞にはRunx2の発現が見られたが、肥大軟骨細胞には発現は見られなかった。延長が進むにつれ直接骨化が増えるがこのときの骨芽細胞にも強い発現が見られた。つまりRunx2遺伝子の発現部位と発現時期はBMP-2,-4のそれと良く一致していた。延長仮骨の細胞は牽引メカニカルストレスに反応してまずBMP-2,-4を過剰発現し、その結果Runx2の遺伝子発現が増幅されているのではないかと考えられた。
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