発育期腰椎終板障害の病態〜生体力学的・分子生物学的アプローチ〜

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12671420
• 研究機関: 徳島大学
• 研究代表者: 加藤 真介 徳島大学, 医学部, 助教授 (30243687)
• 研究分担者: 村上 理一 徳島大学, 工学部, 教授 (00112235) ; 西良 浩一 徳島大学, 医学部, 講師 (10304528)
• キーワード: 腰椎分離症 / 腰椎すべり症 / 終板障害 / 生体力学 / 発育期

研究概要

本年度は、分離症がすべりを生じる際に生じる局所変化を生物学的に調査するためにラットモデルを作製し、レントゲンおよび組織学的に評価した。また、すべりや椎体変形が、椎間板由来ではなく、椎体骨および椎体成長軟骨板由来であることを証明することを目的に、選択的Cycloxigenase-2(COX-2)阻害剤(Etodolac)をモデルラットに投与し、その効果を検討した。結果、4週齢と椎体の幼若な時期に椎弓切除を行い後方不安定化を計ると、発育期の分離すべり症にみられる椎体すべりと椎体楔状変形が再現された。以上より、我々のモデルは有意義な発育期の分離すべり症の動物モデルとなることを明らかとした。またその組織像より、椎体変形や椎体すべりに、成長軟骨板の障害が大きいことを示し、我々の提唱する成長軟骨板でのすべり発生説が裏付けられた。さらに、Etodolac投与によりそのすべりは明らかに増加した。さらに、随伴椎体変形は制御された。以上のCOX-2阻害剤の効果より、発育期腰椎分離症のすべりメカニズムが椎間板変性を基盤とするのではなく成長軟骨板の障害が主に関与し、さらに椎体変形に破骨細胞が活性化された結果生じた変形であることが示された。

研究成果

• [文献書誌] Sairyo K, et al.: "Development of spondylolytic olisthesis in adolescents"The Spine Journal. 1. 171-175 (2001)
• [文献書誌] Kajiura K, et al.: "Slippage Mechanism of Pediatric Spondylolysis -Biomechanical Study Using Immature Calf Spines-"Spine. 26・20. 2208-2213 (2001)
• [文献書誌] Sakamaki T, et al.: "Normal and Spondylolytic Pediatric Spine Movements With Reference to Instantaneous Axis of Rotation"Spine. 27. 141-145 (2002)
• [文献書誌] 加藤信介 他: "発育期の腰椎椎間板障害"脊椎脊髄ジャーナル. 14. 98-104 (2001)
• [文献書誌] 加藤信介 他: "発育腰椎分裂症の発生側と競技種目"中部日本整形外科災害外科学会雑誌. 44. 571-572 (2001)
• [文献書誌] 加藤信介 他: "発育期の腰痛源としての終板障害"日本整形外科学会雑誌. 75. S519 (2001)
• [文献書誌] 西良浩一 他: "立位姿勢が腰椎前弯に及ぼす影響〜発育期および成人の比較〜"日本脊椎脊髄病学会誌. 12. 149 (2001)
• [文献書誌] 酒巻忠範 他: "発育期腰椎分離症における後遺変形発生機序〜幼若ラット腰椎後方不安定化モデルにおける検討〜"日本整形外科学会雑誌. 75. S909 (2001)
• [文献書誌] 小松原慎司 他: "腰椎キネマティックス変化からみた発育期腰椎分離症に合併する椎体変形発生機序について"中部日本整形外科災害外科学会雑誌. (印刷中). (2002)
• [文献書誌] 西良浩一 他: "腰椎分離症・すべり症における脊椎内視鏡下分離部除圧術"中国四国整形外科学会誌. (印刷中). (2002)
• [文献書誌] 西良浩一 他: "発育期腰椎片側分離症に合併した対側椎弓根疲労骨折"日本整形外科スポーツ医学会誌. (印刷中). (2002)
• [文献書誌] 西良浩一 他: "若年者腰椎片側分離症の画像所見"日本整形外科学会雑誌. (印刷中). (2002)