研究概要 |
本研究課題では骨粗鬆症の動物モデルを作成し、骨形態計測を行い、破骨細胞活性化と細胞数の増加所見から、細胞死(Apoptosis)の制御に異常がある可能性を確認した。Apoptosis関連ある遺伝子の候補として、Gas6 geneに着目し、その発現を遺伝子レベル、蛋白レベルで検討したが明らかな発現と機能を認めなかった。そこで、他のApoptosis関連遺伝子の検索を行った。骨粗鬆症の中で最も臨床上重要な、傍関節骨粗鬆症に焦点を絞り、関節炎にて発現亢進する遺伝子群の中から候補遺伝子を検討した。RA滑膜細胞からtotal RNAを回収し、OAを対称としてDiffrential Display法にてApoptosis related protein (SFRPs)を同定した。 SFRPs(SFRP1,4,5)はWnt signal系の細胞内情報伝達系に重要な機能を有することが知られているが、その詳細な働きは不明である。本研究では破骨細胞の前駆細胞である単球系細胞において、IFN,TGF,LPSなどの刺激により発現量亢進が見られる事が判明した。これは関節炎などでみられる傍関節骨粗鬆症において、滑膜からSFRPsが発現され、単球系細胞のApoptosis制御に影響を与えていることを強く示唆する。今後これらの分子の制御が、傍関節骨粗鬆症の治療に結びつく可能性もある。 結論:傍関節骨粗鬆症の原因候補遺伝子としてSFRPs(SFRP1,4,5)を同定した。これらは各種サイトカインに対して異なった反応を示すが、破骨細胞系の細胞に対してApoptosisの制御異常を来たしている可能性が示された。
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