研究概要 |
脊椎後縦靱帯骨化症(OPLL)は骨化靭帯による慢性の脊髄圧迫のため、重篤な脊髄障害をきたす厚生省が指定する特定難病疾患である。我々はOPLLには遺伝的背景が存在することに着目し罹患同胞対連鎖解析を用いた家系解析を行いOPLL病因遺伝子候補として第6染色体上のコラーゲン11A2遺伝子を見いだした。しかしOPLLという疾患自体が遺伝因子と環境因子が複雑に互いに影響しあう多因子疾患であるためコラーゲン11A2遺伝子以外の遺伝子や染色体にもOPLL病因遺伝子が存在することが考えられた。 本研究では下記の新たな知見が得られた。 (1)OPLL発症には遺伝が関与し発症する患者群が存在すること。 (2)OPLL患者家族を用いた連鎖解析によりOPLL遺伝子は第6染色体短腕上に存在すること。 (3)特にその短腕上の11型コラーゲンA2遺伝子異常がOPLL発症に関与すること。 (4)この11型コラーゲンA2遺伝子異常は男性患者の発症原因に強く関与している可能性があること。 (5)女性患者に強く関与する遺伝子などは別の遺伝子座に存在する可能性があること。 (6)培養細胞実験では遺伝子異常がある場合は第6エキソンが脱落するExon trappingが生じ、更に詳しくこの遺伝子領域の遺伝子配列をシークェンサーにて調べた結果イントロン6だけでなく、エキソン6にも遺伝子異常が見出された。 (7)罹患同胞対連鎖解析による全ゲノム連鎖解析を終了し、新たにCDH13,BMP4,PRG1,TGFb3,OPN, PTHR1,IGF1などの候補遺伝子を見出すことに成功した。 (8)連鎖解析で最も第2のOPLL候補遺伝子の可能性が高い第21染色体の相関検定による遺伝子地図を作成し、候補遺伝子を同定した。
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